トラドスのプルダウンメニューにはすべての機能が登録されていますが、その中にはボタン化されていないメニューがあります。そのうち、「分節の縮小」、「分節の拡張」、「タグプロテクションの切り替え」は、ボタン化されていませんが、とても重要な機能です。
「分節の縮小」と「分節の拡張」はいつ使用するか?
文書の翻訳をする場合、どこまでを翻訳の区切りとする(翻訳単位とする)か決定しなくてはなりません。
トラドスの場合、デフォルトで次の5つの分節を1つの翻訳単位とします。
(TRADOS Translator’s Workbenchの「ファイル」メニュー→「設定」→「分節規則」で確認できます。)
- Full Stop(終了記号で区切ります。英語:ピリオド、日本語:句点)
- Tabulator(タブが設定されているところで区切ります。)
- Colon(コロンが入力されているところで区切ります。)
- Marks(記号やグラフィックスが挿入されているところで区切ります。)
- End of Paragraph(改行が挿入されているところで区切ります。)
上の5つの規則のうち、End of Paragraph以外では自由にその区切りを変更したい場合があります。
たとえば、次のような文章を考えてみます。(文章中にコロンが含まれている例)
When modifying the database (examples: creating or deleting objects, attributes, or indexes), changes are stored in secondary tables and do not take effect until you configure the database.
トラドスで最初に取得すると、次のように「コロン」で区切られてしまいます。
これは通常、次のように処理していると思います。
この場合はexamples: 以下で、訳文を上手に切ることができますので、上記の処理でもまちがいではありません。
しかし次のようなに場合はどうでしょうか?(比例を表すためにコロンが使用されています。)
ファイナル入力トルクは標準デフ(出力トルクの左右の比が1 : 1)の場合には[アクスル入力トルク/2]×[ベベルギヤ減速比]で代用可能。
上記の文章をトラドスで開いて取得すると、次のようになります。
この場合、原文フィールドに取り込まれていない下の文章を含めて翻訳しないと適切に翻訳できません。
この状態で訳したのでは原文と訳文が一致せず、メモリとして後で使用できないものが登録されてしまいます。
こうした場合に、「分節の拡張」を使用すると、コロン以下で区切られてしまった文章をつなぐことができ、翻訳のメモリとしては対訳の正当な形になります。次はその手順です。
1. 開いて取得します。
2. 上記のように翻訳単位を開いた状態で、「Trados」プルダウンメニューから「分節の拡張」を選択します。次に示すように、次の翻訳区切りまで原文が取り込まれます。
3. 通常通り、翻訳します。翻訳単位を登録します。
プルダウンメニューから選択するほかに、[Alt] + [Ctrl] + [PageDown]のショートカットキーも使用できます。
「分節の縮小」と「分節の拡張」が使用できない場合
「分節の縮小」や「分節の拡張」が出来ない場合とはどんなときでしょうか?
それはほとんどの場合、ワード文書で切れてはいけない部分に「改行」が入っている場合です。この場合は、トラドスの「分節の縮小」「分節の拡張」で取り込んだり区切ったり出来ません。
この場合は、「ワード」文書上で改行を取り、文章を正しくつなげてから翻訳単位を開いて取得します。
次のような例を考えてみます。
何らかの制約で、この文章の書き手は、operating onとはしたくなく、on the clutch signalを次行に送りたかったとします。
Combinations of respective clutches determine the speed of the transmission (T/M). Thus you can determine the gear speed by operating
on the clutch signal.
これをトラドスで取得すると、次のようになります。このとき、ためしに「Trados」プルダウンメニューから「文節の拡張」を選択してみてください。Trados Workbenchのメッセージエリアに「文節の長さは変更できません。」と表示され何も変わらないはずです。
この場合、今開いている翻訳単位を「原文に戻す」ボタンで原文に戻します。
operatingの後ろにあるのが改行マークです。(これが表示されていない場合は、ワードの「ツール」→「オプション」→「編集記号の表記」フィールドの「すべて」か「段落記号」のチェックボタンをオンにしてください。通常、この改行やスペースは表示させておくほうがよいと思います。)この改行を取ります。
onの前にカーソルを置いて、[バックスペース]キーを押すか、operatingのうしろにカーソルを置き[Delete]キーを押します。operatingとonがつながってしまう場合は、半角のワンスペースを入れてください。
この状態でトラドスで開いて取得します。